白トラ規制強化で何が変わる?2026年4月施行の法改正を徹底解説!

白トラ規制強化で何が変わる?2026年4月施行の法改正を徹底解説!

目次

運送業界における「白トラ」問題が、ついに法的規制の強化によって大きな転換点を迎えます。2026年4月1日から施行される貨物自動車運送事業法の改正により、これまでグレーゾーンとされてきた白ナンバー車両による有償運送への取り締まりが本格化し、荷主側にも処罰の対象が拡大されることになります。本記事では、運送業専門行政書士の視点から、この法改正の詳細と実務への影響を徹底解説します。

1. 【はじめに】「白トラ」が問題視される理由とは?

白ナンバー車による”無許可の有償運送”=白トラの定義

「白トラ」とは、一般的に白ナンバー(自家用ナンバー)のトラックを使用して、他人の荷物を有償で運送する行為、またはそのような運送を行う事業者のことを指します。

本来、他人の荷物を有償で運送するためには、国土交通大臣の許可を受けて一般貨物自動車運送事業の許可を取得し、緑ナンバー(事業用ナンバー)を取得する必要があります。この許可を受けずに有償運送を行うことは、貨物自動車運送事業法違反に該当し、従来から違法行為とされてきました。

しかし、実際には「個人事業主として契約している」「業務委託だから問題ない」といった名目で、白ナンバー車両が運送業務に使われているケースが後を絶ちませんでした。こうした違法な白トラ行為は、適正な許可を得て運送業を営む事業者との間で不公平な価格競争を生み、業界全体の健全性を損なう大きな問題となっていたのです。

なぜ今、白トラ規制が強化されるのか?(背景:2024年問題・違法運送の横行)

白トラ規制が強化される背景には、複数の深刻な業界課題が存在します。

第一に、2024年問題の影響があります。2024年4月から施行された働き方改革関連法により、トラックドライバーの時間外労働時間に年間960時間の上限規制が適用されました。これにより、運送能力の不足が懸念される中、一部の事業者が安易に白トラを利用するケースが増加する懸念が高まりました。

第二に、違法運送の横行による業界の歪みです。適正な許可を持たない白トラ事業者は、運行管理者の選任、車両の点検整備、社会保険の加入、適正な運賃収受といった法的義務を負っていないため、極端に安い運賃で運送を請け負うことが可能です。この結果、適正に事業を営む運送事業者が価格競争で不利になり、業界全体のコンプライアンスが低下する悪循環が生じていました。

第三に、労働環境と安全性の問題です。白トラ事業者の多くは、労働基準法や改善基準告示を遵守せず、ドライバーに過酷な労働を強いるケースが多く、交通事故のリスクも高まります。こうした状況を放置すれば、物流の安全性と持続可能性が脅かされることになります。

こうした複合的な背景から、国土交通省は白トラ規制の抜本的強化に踏み切ったのです。

「安いから頼む」は通用しなくなる時代へ

これまで、一部の荷主企業は「コスト削減」を優先し、運送業の許可を持たない安価な白トラ事業者に運送を委託してきました。しかし、2026年4月以降、こうした行為は荷主側も罰則の対象となります。

「知らなかった」「安いから使っただけ」という言い訳は通用しなくなり、荷主企業には委託先が適正な許可を有しているかを確認する義務が実質的に課されることになります。物流業界は今、「価格」よりも「コンプライアンス」が最優先される時代へと大きく舵を切っているのです。

2. 【改正の要点】2026年4月施行、白トラ規制の中身を解説

改正法のスケジュールと白トラ関連規制の施行日

今回の法改正は、2025年6月11日に公布された「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」に基づくもので、段階的に施行されることが特徴です。

白トラ規制に関する主要な規定は、2026年4月1日に施行されることが、2025年11月21日の閣議決定により正式に確定しました。この日以降、白トラへの規制が本格的に強化され、荷主への罰則適用が開始されます。

なお、法改正全体では以下のようなスケジュールで施行が進められています:

  • 2026年4月1日施行:白トラ規制強化、委託次数制限(努力義務)、貨物利用運送事業者の実運送体制管理簿作成義務など
  • 2027年施行予定:標準的運賃制度の見直し、許可更新制度の導入など

運送事業者・荷主企業ともに、まずは2026年4月1日の第一弾施行への対応が喫緊の課題となります。

2025年11月に政令で確定されたポイント

2025年11月21日、政府は「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」を閣議決定し、以下の重要ポイントが確定しました:

  1. 荷主等への規制導入:白ナンバー車で有償貨物運送を行う違法な白トラ事業者に運送委託を行った荷主等が、新たに処罰の対象となる
  2. 国土交通大臣による要請制度:違法な白トラ事業者への委託の疑いがある場合、国土交通大臣が荷主に対して必要な要請等を行うことができる
  3. 委託次数制限(努力義務):元請運送事業者が貨物運送を委託する場合、2回以内に抑えるよう努めなければならない
  4. 貨物利用運送事業者の書面交付義務:実運送を委託する際に、実運送を行う事業者の名称などを記載した書面の交付義務

これらの規定は、運送業界の構造的問題に正面から取り組むものであり、運送事業者と荷主の双方に大きな影響を及ぼします。

3. 【ポイント①】白トラ事業者への委託=荷主も処罰対象に

荷主の責任が明文化された意味

今回の法改正の最大のポイントは、荷主側の責任が明文化されたことです。

従来、違法な白トラ行為を行った運送事業者(実際には無許可事業者)は貨物自動車運送事業法違反として処罰の対象でしたが、その運送を依頼した荷主側には直接的な罰則規定がありませんでした。このため、「運送業者が勝手にやったこと」として荷主が責任を逃れるケースが多く、実効的な取り締まりが困難でした。

しかし、2026年4月1日以降は状況が一変します。改正法では、違法な白トラ事業者に運送を委託した荷主も処罰の対象となることが明確に規定されました。これは、荷主に対して「委託先が適正な許可を有しているかを確認する義務」を実質的に課すものであり、荷主の責任範囲が大幅に拡大されたことを意味します。

実際に想定される罰則内容とその重み

違法な白トラ事業者に運送を委託した荷主に対しては、100万円以下の罰金が科されます。

この罰則は、法人に対して適用されるものであり、個人事業主の場合も同様です。また、刑事罰としての罰金であるため、行政処分とは異なり、前科として記録されることになります。

100万円という金額だけを見れば、大企業にとっては「それほど大きくない」と感じられるかもしれません。しかし、実際には以下のような重大なリスクが伴います:

  • 企業の社会的信用の失墜:法令違反企業としてのレッテルが貼られ、取引先からの信頼を失う
  • コンプライアンス体制への疑義:他の法令遵守体制についても疑問視され、監査や調査の対象となる可能性
  • 上場企業の場合の影響:適時開示が必要となり、株価への悪影響や株主代表訴訟のリスクも
  • 公共入札からの排除:公共事業の入札参加資格停止など、ビジネス機会の喪失
  • 取引先からの取引停止:大手企業のサプライチェーン方針により、取引停止となる可能性

つまり、直接的な罰金額以上に、企業経営への影響は計り知れないのです。

「知らなかった」では済まされないリスク

「委託先が白トラだとは知らなかった」という抗弁は、法的には認められない可能性が高いと考えられます。

なぜなら、一般貨物自動車運送事業の許可を受けている事業者かどうかは、確認可能な事実だからです。国土交通省の運輸支局では、許可事業者の一覧が公開されており、事業者の許可番号や車両ナンバー(緑ナンバーか白ナンバーか)を確認することで、適法な事業者かどうかを判別できます。

荷主企業には、委託先選定時に以下のような確認を行う義務があると解されます:

  • 運送事業者の許可証・許可番号の確認
  • 使用する車両が事業用ナンバー(緑ナンバー)であることの確認
  • 貨物利用運送事業者の場合、実運送体制管理簿の確認
  • 契約書における許可番号の明記

これらの確認を怠った場合、「知らなかった」は過失による法令違反と判断される可能性が高く、罰則の対象となるリスクがあります。

4. 【ポイント②】国交省が荷主に直接”要請”できる仕組みに

疑いがある段階で行政指導が入る新制度

今回の法改正で注目すべきもう一つのポイントは、国土交通大臣が荷主に対して直接「要請」を行える制度が導入されることです。

従来、白トラ事業者に対する取り締まりは、主に運送事業者側への監査や処分が中心でした。しかし、荷主側が違法運送の温床となっているケースが多く、荷主に対する直接的なアプローチが必要とされていました。

新制度では、「違法な白トラ事業者への委託の疑いがある」段階で、国土交通大臣(実務上は地方運輸局)が荷主に対して、必要な措置を取るよう要請することが可能になります。この要請は、刑事罰の前段階として機能し、行政指導的な性格を持ちます。

具体的には、以下のような流れが想定されます:

  1. 運輸局が違法な白トラ事業者の存在を把握
  2. 当該事業者に運送を委託している荷主を特定
  3. 荷主に対して「違法な白トラへの委託の疑い」として要請文書を発出
  4. 荷主は委託先の確認と、必要に応じて契約解除・是正措置を実施
  5. 是正が行われない場合、刑事告発・罰則適用へ

荷主へのプレッシャー強化が事業判断に与える影響

この要請制度の導入により、荷主企業は「疑われる」だけでも行政の監視下に置かれることになります。

要請を受けた荷主企業は、即座に以下の対応を迫られます:

  • 委託先の運送事業者の許可状況の確認
  • 契約書類の精査
  • 違法性が判明した場合の契約解除
  • 代替運送事業者の確保
  • 社内のコンプライアンス体制の見直し

こうした対応には時間とコストがかかる上、場合によっては物流体制の大幅な見直しが必要になります。また、要請を受けたこと自体が社内で問題視され、担当者の責任問題に発展する可能性もあります。

したがって、荷主企業は「事前の予防的対策」が極めて重要になります。違法な白トラとの取引を未然に防ぐことが、企業リスクマネジメントの観点から不可欠となるのです。

5. 【白トラ規制のメリット】許可業者にとっての追い風

グレーな業者との価格競争からの解放

白トラ規制の強化は、適正に許可を取得して運送業を営む事業者にとって、大きな追い風となります。

これまで、許可事業者は違法な白トラ事業者との間で、不公平な価格競争を強いられてきました。白トラ事業者は、運行管理者の人件費、車両の点検整備費、社会保険料、法定福利費などのコストを負担していないため、極端に安い運賃で運送を請け負うことができます。

この結果、適正なコストを積算した運賃を提示する許可事業者は「高い」と判断され、受注機会を失うという悪循環が生じていました。特に中小の運送事業者にとって、この価格競争は経営を圧迫する深刻な問題でした。

しかし、2026年4月以降、荷主が白トラを利用することは法的リスクが高まるため、適正な許可を持つ事業者への需要がシフトすることが期待されます。これにより、許可事業者は本来あるべき適正な運賃水準での受注が可能になり、経営の安定化が図られるでしょう。

適正な利益確保とドライバー待遇改善への期待

白トラ規制による市場の正常化は、ドライバーの待遇改善にもつながると期待されています。

運送業界は長年、低運賃による過当競争に苦しみ、その結果としてドライバーの賃金が抑制され、労働環境も劣悪な状態が続いてきました。これが深刻なドライバー不足の一因となっています。

適正な運賃が確保できるようになれば、運送事業者は以下のような投資が可能になります:

  • ドライバーの賃金引き上げ
  • 労働時間管理の徹底と休息時間の確保
  • 車両の更新・安全装備の充実
  • 運行管理システムの導入
  • 教育訓練の充実

こうした投資により、運送業界全体の魅力向上と人材確保が期待されます。白トラ規制は、単なる取り締まり強化ではなく、業界の健全な発展を促す重要な施策なのです。

認可制度を守る企業にとっての”正常化”のチャンス

長年、法令を遵守し、適正に事業を営んできた運送事業者にとって、白トラ規制強化は「正義が実現される」瞬間と言えます。

許可取得のために多額の投資を行い、運行管理者を配置し、車両の点検整備を徹底し、ドライバーの労働環境を整備してきた事業者が、ようやく正当に評価される環境が整いつつあります。

今こそ、許可事業者は自社のコンプライアンス体制を積極的にアピールし、荷主に対して「安心して任せられる運送パートナー」としての価値を訴求する絶好の機会です。許可番号の明示、緑ナンバーの使用、適正な契約書の整備など、自社の適法性を可視化することが、競争力強化につながるでしょう。

6. 【注意】「うちは関係ない」は本当?白トラ利用が潜む盲点

見積もり上では気づきにくい「白トラ事業者」

荷主企業の担当者の中には、「うちは大手の運送会社と契約しているから大丈夫」と考えている方もいるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。

実際には、以下のようなケースで白トラが紛れ込んでいる可能性があります:

  • ケース1:見積もり段階での巧妙な表現
    「当社提携の運送業者」「協力会社による運送」といった表現で、実際には白トラ事業者を使用している
  • ケース2:繁忙期の臨時対応
    通常は適正な運送事業者を使用していても、繁忙期には白トラを使って対応しているケースがある
  • ケース3:低価格の裏に潜むリスク
    異常に安い運賃を提示してくる事業者は、白トラを使用している可能性が高い

荷主側が直接契約している相手が適法な事業者であっても、その先の下請け・孫請けで白トラが使われている可能性があることに注意が必要です。

グループ企業・下請けルートに白トラが紛れている可能性

特に注意が必要なのは、多層的な下請け構造の中に白トラが紛れているケースです。

例えば、以下のような構造が考えられます:

  1. 荷主企業A社 → 大手運送会社B社(適法な許可業者)と契約
  2. B社 → 地域の運送会社C社(適法な許可業者)へ再委託
  3. C社 → 個人事業主D氏(白ナンバー車両)へ再々委託 ← ここが違法!

このような場合、荷主A社は直接D氏と契約しているわけではありませんが、最終的に白トラを利用した運送が行われています。改正法では、荷主が「違法な白トラ事業者に運送を委託した」場合が処罰対象とされていますが、再委託先の管理責任がどこまで問われるかは、今後の運用次第です。

ただし、国土交通省の要請制度では、「疑い」の段階で荷主に連絡が入る可能性があるため、実質的には荷主も再委託先の管理責任を問われる形になります。

したがって、荷主企業は契約先に対して、「再委託先においても適法な事業者のみを使用すること」を契約条件に明記し、定期的に確認を行う体制を整備することが重要です。

荷主としての契約管理の重要性

白トラ規制強化を受けて、荷主企業には契約管理体制の見直しが求められます。

具体的には、以下のような対策が必要です:

  • 契約書への明記:運送委託契約書に、相手方の許可番号、緑ナンバー車両の使用、白トラ禁止条項を明記する
  • 定期的な確認:年1回程度、委託先の許可証の写しを提出させ、許可が有効であることを確認する
  • 再委託の制限:再委託を行う場合は事前承認制とし、再委託先の許可状況も確認する
  • 監査条項の設定:荷主側が委託先の運送体制を確認できる監査権を契約に盛り込む
  • 違反時の措置:白トラ使用が判明した場合の契約解除条項を設ける

こうした契約管理を徹底することで、荷主企業は法的リスクを最小化できます。

7. 【行政書士の視点】法改正で求められるのは”実務の見直し”

適正な契約・委託先の確認ポイント

運送業専門行政書士として、荷主企業に対してアドバイスする際の重要な確認ポイントをご紹介します。

【契約締結時の確認事項】

  1. 許可証の確認:一般貨物自動車運送事業の許可証(又は貨物軽自動車運送事業の届出済証)の写しを取得し、許可番号を確認する
  2. 営業所の所在地:契約書に記載された営業所が、許可証の営業所と一致しているか確認する
  3. 使用車両の確認:実際に運送に使用する車両が事業用ナンバー(緑ナンバー又は黒ナンバー)であることを確認する
  4. 運送約款の交付:標準運送約款又は国土交通大臣の認可を受けた運送約款が交付されているか確認する
  5. 損害保険の加入状況:貨物保険、自動車保険(対人・対物・車両)に適切に加入しているか確認する

【契約書に盛り込むべき条項】

  • 委託先の許可番号の明記
  • 事業用ナンバー車両の使用義務
  • 白ナンバー車両使用の禁止条項
  • 再委託の制限・事前承認制
  • 定期的な許可証の提出義務
  • 法令遵守義務と違反時の契約解除条項

許認可を受けた運送業者であるかの見極め方

運送事業者が適法な許可を受けているかどうかは、以下の方法で確認できます。

【最も確実な方法】

  • 許可証の原本確認:一般貨物自動車運送事業の許可証には、許可番号、営業所の所在地、許可年月日が記載されています。原本を提示してもらい、写しを取得しましょう。
  • 車両ナンバーの確認:事業用トラックは緑ナンバー(普通貨物)、軽貨物は黒ナンバー(黄色地に黒文字)です。白ナンバーの車両を使用している場合は、違法の可能性が極めて高いです。

【運輸支局での確認】

国土交通省の各地方運輸局・運輸支局では、許可業者の一覧を公開しています。事業者名や許可番号で検索することで、適法な事業者かどうかを確認できます。運輸支局の窓口でも照会が可能です。

【ウェブサイトでの確認】

一部の運送事業者は、自社のウェブサイトに許可番号を掲載しています。ただし、掲載していない事業者も多いため、これだけでは判断できません。必ず許可証の確認を行いましょう。

書面・電磁的契約の整備もカギに

改正法では、貨物利用運送事業者(いわゆる水屋業)に対して、実運送を委託する際に、実運送を行う事業者の名称等を記載した書面の交付義務が課されます。

この書面は、電磁的方法(電子メール、システム上でのデータ交付など)でも可能とされています。荷主企業としては、この書面を確実に受領し、記載された実運送事業者が適法な許可を有しているかを確認する体制を整備することが重要です。

また、運送委託契約書自体も、電子契約システムを活用して効率的に管理することが推奨されます。契約書に許可番号や車両番号を明記し、更新時には自動的に確認を行うような仕組みを構築することで、コンプライアンスリスクを低減できます。

8. 【事例紹介】白トラ利用で指摘を受けたケース(仮想事例)

ここでは、白トラ利用で問題が発覚した仮想的な事例を3つご紹介します。これらはフィクションですが、実際に起こり得る典型的なパターンです。

【事例1】荷主が知らずに委託→国交省からの要請文書

■状況
製造業のX社は、製品の配送を地域の運送会社Y社に委託していました。Y社は適法な許可を持つ事業者でしたが、繁忙期には人手が足りず、個人事業主Z氏(白ナンバー車両)に再委託していました。

ある日、地方運輸局がZ氏の白トラ行為を摘発し、Z氏に運送を依頼していたY社、そしてY社と契約していた荷主X社に対しても調査が入りました。X社には国土交通省から「違法な白トラ事業者への委託の疑い」として要請文書が送付されました。

■問題点
X社は直接Z氏と契約していたわけではありませんが、Y社の再委託先管理が不十分であったため、結果的に白トラを利用する形になっていました。X社はY社との契約書に再委託の管理条項を設けていなかったため、チェック機能が働きませんでした。

■対応
X社は緊急でY社に対して再委託先の一覧提出を求め、Z氏との契約を即座に解除させました。また、契約書を改訂し、再委託先の事前承認制と定期報告義務を盛り込みました。幸い、刑事告発には至りませんでしたが、社内でコンプライアンス体制の見直しが行われ、物流担当者は厳重注意を受けました。

【事例2】下請けの再委託先が白ナンバーだった事例

■状況
建設会社のA社は、建設資材の運搬を運送会社B社に委託していました。B社は適法な許可業者でしたが、実際の運送はグループ会社のC社に再委託し、C社はさらに地域の個人事業主D氏に再々委託していました。D氏は白ナンバーのトラックで運送を行っていました。

ある日、現場でD氏の白ナンバー車両を目撃した取引先が「コンプライアンス上問題ではないか」と指摘し、A社は初めて白トラの使用を知りました。

■問題点
A社は直接契約しているB社が適法な事業者であることのみ確認しており、その先の再委託・再々委託については全くチェックしていませんでした。多層的な下請け構造の中で、白トラが紛れ込んでいたのです。

■対応
A社は直ちにB社に対して調査を指示し、D氏との契約を解除させました。また、B社との契約を見直し、「2次下請けまで」という制限を設けるとともに、すべての実運送事業者の許可証提出を義務付けました。この事例はA社の取引先にも知られることとなり、A社のコンプライアンス体制に対する信頼が揺らぐ結果となりました。

【事例3】コンプラ体制の甘さがブランドリスクに発展

■状況
消費財メーカーのP社は、自社製品の配送を複数の運送会社に委託していました。コスト削減を優先した結果、一部の地域では格安の運送業者Q社を利用していました。Q社は適法な許可を持っていましたが、実際には自社車両をほとんど持たず、白トラ事業者を多用していました。

ある日、P社製品を運んでいた白ナンバー車両が交通事故を起こし、その映像がSNSで拡散されました。「有名メーカーが違法な白トラを使っている」という批判が殺到し、P社のブランドイメージが大きく傷つきました。

■問題点
P社はコスト削減を優先するあまり、委託先の運送体制を十分に確認していませんでした。「安ければ良い」という判断が、結果的に違法な白トラの利用につながり、ブランドリスクが現実化したのです。

■対応
P社は謝罪声明を発表し、Q社との契約を即座に解除しました。また、全国の委託先運送会社に対して緊急監査を実施し、白トラを使用している疑いのある業者との契約をすべて見直しました。さらに、物流委託先選定基準を全面的に改訂し、「適法性」を最優先事項とする方針に転換しました。この事例は同業他社にも大きな警鐘となりました。

9. 【まとめ】白トラ規制は「荷主責任」の時代への転換点

法令順守は運送業者だけの問題ではない

2026年4月1日から施行される白トラ規制強化は、物流業界における「荷主責任」の時代への大きな転換点です。

これまで、運送業における法令遵守は主に運送事業者側の問題とされてきました。しかし、今回の法改正により、荷主企業も運送の適法性について責任を負うことが明確になりました。

この変化は、単に規制が強化されたというだけでなく、物流業界全体の健全化に向けた重要な一歩です。適正な運賃、適正な労働環境、安全な運送体制を確保するためには、荷主企業の協力が不可欠だからです。

荷主企業も「選ぶ責任」を持つことが求められる

荷主企業には今後、委託先運送事業者を「選ぶ責任」が求められます。

「安いから」「便利だから」という理由だけで運送業者を選ぶ時代は終わりました。これからは、以下のような観点で委託先を選定することが必要です:

  • 適法な許可を有しているか
  • 事業用ナンバー(緑ナンバー・黒ナンバー)の車両を使用しているか
  • 運行管理体制が整備されているか
  • ドライバーの労働環境が適正に管理されているか
  • 安全性優良事業所(Gマーク)などの認定を受けているか
  • 適正な運賃水準を維持しているか

こうした観点で委託先を選定することは、単に法的リスクを回避するだけでなく、持続可能なサプライチェーンの構築にもつながります。適正な運送事業者と長期的なパートナーシップを築くことが、荷主企業にとっても最善の戦略となるでしょう。

白トラ規制強化は、物流業界にとって大きな変革の始まりです。運送事業者と荷主企業が協力し、適法で持続可能な物流システムを構築していくことが、今後の業界発展の鍵となります。

10. 【ご相談・サポート】運送業専門行政書士としてお手伝いできること

行政書士として支援できる内容

当事務所では、運送業専門の行政書士として、白トラ規制強化への対応について、以下のようなサポートを提供しております。

【運送事業者様向けサービス】

  • 一般貨物自動車運送事業の新規許可申請
  • 営業所の新設・増設に伴う認可申請
  • 車両の増減車手続き
  • 運送約款の作成・認可申請
  • 法令遵守体制の構築支援
  • 行政処分を受けた際の対応支援

【荷主企業様向けサービス】

  • 運送委託契約書のリーガルチェック・作成
  • 委託先運送事業者の適法性確認
  • 白トラ対策を含むコンプライアンス体制の構築支援
  • 物流委託先選定基準の策定支援
  • 国土交通省からの要請への対応支援
  • 社内研修・セミナーの実施

【貨物利用運送事業者様向けサービス】

  • 実運送体制管理簿の作成・運用支援
  • 書面交付義務への対応支援
  • 再委託管理体制の構築支援

不安がある方は一度ご相談ください

2026年4月の施行まで、残された時間は多くありません。

「自社の運送委託体制は大丈夫だろうか?」
「契約書の内容をチェックしてほしい」
「委託先が適法な事業者かどうか確認したい」

こうした不安やご質問がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

運送業専門の行政書士として、法令に基づいた適切なアドバイスと実務的なサポートを提供いたします。法改正への対応は、早めの準備が何よりも重要です。企業のリスク管理とコンプライアンス体制強化のために、専門家のサポートをぜひご活用ください。

※本記事の内容は2026年1月時点の情報に基づいています。最新の法令・通達については、国土交通省のウェブサイトや所轄の運輸支局にてご確認ください。


【参考資料】
国土交通省「違法な『白トラ』への規制が令和8年4月1日から強化されます」
貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(令和7年法律第44号)

国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。
www.mlit.go.jp